ダーナパラミツ

六波羅密の行の最初にでてくるのが、檀那波羅密です。
訳せば布施行です。何故一番目に登場するのでしょうか。私たち人間は地球上で最強の生き物として君臨しています。
それは、お互いが支えあいながら社会をきづいて生活しているからです。社会を形成するには、お互いが信頼しあえないとなりたちません。その最も信頼しあえる行為が「施し」です。困ったときにはお互いが助け合い。苦しいときには、相談にのり、悲しいときには、慰め、嬉しいときには共に喜び、心と心を繋いで社会を保っているから、地球上の最強者として生きていられるのです。しかし、悲しいことに近年それが崩れつつあります。欲望の世界が増長し、自己中心的な人が増えています。物事を損得で計算し、打算的で、心と心を繋ぐ思いやり、即ち布施行が出来ない、布施行を考えきれない人たちが増えて、社会に潤いがなくなって来ています。人間の心が畜生の世界に落ちつつあるかのようです。

<人間であることに目覚める行、それが「ダーナパラミツ」です。お寺において、お願いばかりして、布施のできない方もいれば、有り難く感謝して布施を忘れない人もいます。お坊さんは布施を催促することはできませんが、自分のことでお坊さんのお世話になったら、感謝して布施のできる人になってほしいと思います。

お坊さんは「法」を施して正しい生き方を教えます。みんなはお坊さんを供養して施しをし、相互に供養する心を大事にします。
布施行を通じて、自分の燃え盛る欲望をコントロールしながら人間のあるべき姿を考えてみましょう。