10年前になるが、若い夫婦がお寺を訪ねてきた。妊娠したが、子宮ガンと診断されたらしい。こどもを産むべきか、ガンを治す手術を受けるべきか悩みの相談だ。私は即座に子供を産みなさいと答えた。本人はガンで命を失う恐れもあるので、決断するには多少時間がかかったが、産む決心をした。元気な男を出産した後ガンの検査をしたら、ガンは消えてしまっていた。
現在、信徒の中に乳ガンとたたかっている人が1名、白血病とたたかっている3人の子どもがいる。いずれも底抜けに明るい。まるで天使のようだ。最初は、本人も家族も落胆していたが、お寺に通うようになって、明るさを取り戻し、生きる力をつけてきた。1人は今月末に兄から骨髄移植を受ける。他はいずれも順調に回復している。どんな難病にかかろうと落胆してはならない、治ると信じ、治ろうと努力する。今生きていることに感謝して、この瞬間、瞬間を大切にすることが大切だ。
仏のように美しい笑顔は逆に私たちを勇気づけてくれる。ありがとう。がんばれ、仏の子。